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団地の壁のその素肌。

執筆者の写真: Yuichi SeshimoYuichi Seshimo


本格的な解体に先立って壁をチェックしています。 団地に限らず壁は様々、無垢板の壁もあれば漆喰、珪藻土、塗装、クロスなど・・・ それぞれ風合いは違うし、特徴も違う。もちろんコストも違います。 壁の種類に関しては折に触れて紹介してみようと思います。 さて、富士見町団地の私たちの部屋はというと。。。



使用している壁紙のすべてがワッフルパターンの安っぽい壁紙でした。 清潔感があれば何だっていいよ。と思えばコスト重視でそんな選択にもなるのでしょうが、残念なのは内装屋に委託したのか、はたまた自分たちで張ったのか。どうにも判断できないほど雑であること。もっとも、私たちはその壁紙を残すつもりなどなかったので文句の言えるはずもないのですが。。。。 それよりも好奇心を掻き立てられるのは竣工当時の壁がどうなっていたのか。ということ。 既にご紹介していますが、富士見町団地の私たちの棟の構造はラーメン構造です。 その特徴を大雑把に言えば、専有部分の周りを囲む壁(躯体)以外はほぼ取れてしまうこと。壁を叩いてみると躯体に直接クロスを張っているような感触がある。だとすればクロスを剥がしてみれば「すっぴん」の壁を見ることが可能なのではないかと期待が膨らむ。




使う道具は「スクレーパー」というもの。

リーズナブルなものから本格的なものまで幅広いラインナップはあるが、一般的なホームセンターに置いていると思います。私たちが使っているのはTAJIMAの「パーフェクトヘラ」とういうもの。

使用方法に応じて刃先を交換できるし、グリップの底部を叩けばノミのように力を入れて剥がし作業をすることができる代物です。

一般的なクロスは紙ベースの表面素材に紙の裏地などの複数層で形成されています。クロスからクロスに張り替える際には表面のクロス生地だけ剥がれて裏地紙が壁に残るというもののようです。

いざ、剥がす!

表地を剥がしてやや落胆。




50年も経てば壁紙の張替えなど一度や二度ではないはずとは思ってはいたものの、大した下地処理もしないままバシバシ張り替えたと見えてボンドや裏地の残骸が斑に残っています。 スクレーパーでガシガシ落とすにしてもそうできない事情が判明しました。 少し剥いでみて判明したのは躯体のコンクリート壁に2ミリ位の厚さで漆喰が塗ってありました。 力加減を間違えると、漆喰層をもこそぎ落としてしまう可能性であるのです。壁をどう作るか、まだ方針も決めていませんでしたが個人的にはこの漆喰をどうにか活かせないものかと未練が出たのです。

とりあえず地味な作業に切り替えて進めてみることに。





丁寧にボンドや壁紙の残骸を取り除くとこんな感じの壁になりました。 白い粉が出てしまうのでこのままでは使えないですし、補修が必要な箇所もあるので思案のしどころですが、なんとも穏やかで柔らかい印象の壁です。

ただし、四時間の作業で約一畳分。。。非効率の極みとしか言いようがありません。

壁紙を落とすにはもう少し時間もあるのでじっくりと考えてゆくことになりそうです。 もちろんポジティブです。思案がリノベの醍醐味ですし、時間はたっぷりとありますから。





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