​宅建業者の選び方。①

査定価格は売却価格ではない。

不動産の売却を考えている人にとって重要視するポイントに「査定価格」があります。

一括査定サイトなども増えてきて、売主にとっては便利になってきている反面で

 

「なかなか売却できない」

「値下げを提案されている」

という方が相談に訪れる機会が増えてきたような気がします。

売主さんにとっては、なぜなのか理解し難いところもあるかもしれませんが、大抵の理由はいくつかに絞られますが、ひとつは売主さんが査定価格を売却価格として頭にインプットされてしまっていることが挙げられます。

 

査定表がお手元にある方は確認してみて下さい。査定価格はその名の通り、「これくらいの価値がありますよ」というものです。更に読み進めると「売出し提案価格」というものがあるかと思います。各社によって表現方法はまちまちですが、概ね「これくらいで売り出せば、この確率で売却できます」というような内容になっています。宅建業者は売主さんに対する査定提案は根拠に基づいて説明する義務がありますが、実際には高めに設定します。それはなぜか。

私たち宅建業者は、売主さんから「媒介契約」を締結して頂かない限り売却活動には入れません。民法上には「他人物売買」といって、依頼を受けていなくても所有者の不動産を売却できるという冗談のような設定もありますが、昨今世の中を騒がせていた「地面師」呼ばれる人々でも無い限りそのような販売活動はありません。

媒介契約を締結していただくためにはどうするか。独自の売り方をセールスポイントととして売主にアピールするやり方もそのひとつですが、「査定価格」を高めに設定する宅建業者が多いのも事実です。

 

私たちが、自動車を売却しようとしたときには業者に依頼して査定をしてもらいます。年式や走行距離、内装の現状、機関部の調子などを考慮して総合的に査定価格が提示されます。価格に満足であれば売却は成立しますが、不満であれば他社をあたることになります。

しかし、不動産の場合は「買取」ではなく「仲介」である以上、宅建業者は仲介人という立場です。買主が現れて、購入を決定して初めて契約が成立するわけですから、査定価格は中古車の査定価格とはまったく違う意味合いとなります。この「査定」という言葉の潜在的な受け止め方が、売主さんの思惑を狂わせてしまうひとつの要因です。

不動産の査定方法は、いくつかの方法があり理論的にはどの宅建業者が査定をしたとしても同額とは言わないまでも、似た査定結果になります。ですから、複数社に査定依頼を出して突出して高額の査定価格が提示された場合は、注意が必要です。担当者から理にかなった説明がなかった場合は、媒介契約の締結後に、高確率で価格の引き下げが提案される恐れがあります。そして、最終的な売却価格は、多くの宅建業者が提案した査定価格に近くなります。

このコラムの事例自体は「必ず」というものではありませんが、高い確率で発生するリスクです。

​売主さん自身がリスクを回避するためには「査定価格=売却価格ではない」という知識を抑えておく必要はあるでしょう。