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雪ノ下の家

設計・監理 石井秀樹建築設計事務所

敷地は鎌倉の丘陵の20軒弱で構成された集落にあり、階段の袋小路状の集落は住民以外の立ち入りは無く落ち着いた環境が保たれている。

風致地区条例で定められた壁面後退を確保してギリギリ納まる6.9m×6.9mの正方形の2階建てを敷地中央に配置した。1階は閉じたプライバシーの高い空間として、収納、水廻を集約した箱を中央に設け、その周囲に玄関、沐浴場、寝室が連続する回遊プランとした。2階は各辺2本ずつ合計8本の鉄骨柱を外側に立て、1階の閉じた箱の上に屋根を浮かせて領域を創り、この地の空気を覆って包み込んだだけのようなガランドウの空間を目指した。室内には壁や柱は一切無く、冷蔵庫やキッチン換気扇なども床下に処理して立ち上がりを徹底的に排除した。外部へと水平に広がる開放感と軒先を1.6mに抑え、屋根に包みこまれるような安心感を両立した空間を意図した。また丘陵地ゆえに周囲とは高低差があり、軒先を下げることで隣家の視線をかわせることも四周ガラス張りの日常生活空間を可能としている。

常々、空間を発明するのでは無く発見したいと考えている。この地の空気感を自身の身体感覚で感じ、丘陵地であるこの地の要請を読み取り、ここにあるべき空間を発見できたのではないかと思っている。

●場所:神奈川県鎌倉市 ●主要用途:専用住宅 ●家族構成:夫婦 ●構造工法:S造 ●建物規模:地上2階
●敷地面積: 153.56m2 ●建築面積: 55.78m2 ●延床面積: 95.22m2

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