紫野の家
設計・監理 多田 正治
RCの戸建住宅の改装工事である。
玄関より室内に入ると、荒々しい、しかし落ち着いた表情の間仕切壁が正面に立ち現れる。壁に沿うように歩き、角を曲がると、正面に庭への開口部が現れ、外部へと視線が抜ける。リビング側に来ると間仕切り壁は、包み込むようたたずむ。
壁の一部にあけられたスリットには、アクリル塊が嵌め込まれている。リビングには、廊下の掛け花入れに生けられた花の表情を伝え、廊下には、アクリル内を乱反射したきらめく光が到達する。
キッチンの奥には、出窓に面した小スペースを用意した。お茶を飲む、音楽を聴く、休憩する。そんな小さなアクティビティを内包する室名のない空間であり、大きなワンルーム空間の中の小さな隠れ家である。
かつてのキッチンについていた横長の窓は、ダイニングに座ったときに比叡山を眺めることができるピクチャーウィンドウとなった。
LDKの3室を大きなワンルーム空間へと変貌させたわけだが、間仕切壁を中央に置き、その空間的意味に変化を与えることで3室以上の多様な空間をつくりだした。
庭や眺望などの魅力的なポテンシャルを、改装により顕在化させることができた。
●場所:京都市 ●施工面積:53.58m2 ●家族構成:夫婦2人 ●期間:2009
●Photo by 松村康平
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